契約シンデレラ

それからどのくらいの時間が経っただろう、私と圭史さんは社長室のソファーに向き合って座った。
こうして圭史さんに会うまで、私はいろいろなことを考えた。
たとえ周囲の声がうるさくても『一旦約束をしたからには圭史さんのマンションに帰るべきではないだろうか』とか、いっそ『このまま会社も辞めて圭史さんの前から消えてしまおう』とか。
それでも、結局答えが出ないまま今に至る。
私は圭史さんのことが好きだし、圭史さんの方も私に好意を持っていてくれるのだろうと思う。
それが純粋な意味での恋愛感情なのか、一緒に暮らすうちにわいた家族に対する情なのかはわからないがお互いに嫌いでないのは確かだ。
だからこそ、私はマンションを出ようと決心した。
私が側にいることで、圭史さんの足を引っ張ることだけは避けたいと思った。