「比那谷が、大学卒業してから、何もすることがないって言っていたから、高校の時の先生に聞いてみたんだ。」

「ずいぶんお人好しですね。先生は。」

「先生はな、生徒の幸せが先生の幸せだからな。」

「なら、私の先生をしたのが間違いですね。」

「そうか?だって、幸せの家庭を築きたいんだろ?」

「私、お人好し好きなので仕方がなく教えてあげますが、私の夢は、叶いません。」

「なんでだ?」

「短かったけれど、充分、幸せな暮らしができました。」

「もう、終わったのか?これからじゃないのか?」

「あまり、深追いしては、いけないんですよ?」

「そうか。」

「先生って結婚してますか?」

「急に聞いてくるじゃないか、いないよ。」

「そうなんですね。」