「ごきげんよう」
「ごきげんよう」

 校門前でみんなが微笑みながら、挨拶してる。
 実はこの学校は、パパの母校の大学付属の私立中学校。

 一応、名門なんだよね。
 私は幼稚園からここ。

 お兄ちゃん達の大学の付属でもある。
 本当のママも此処に通ってたんだって。
 パパとママはこの中学校からの同級生。
 お互いに初恋で、幼馴染で……お付き合いして結婚して……私が生まれて……。

 この校舎で二人が恋してたなんて、ロマンチック!

 でもママは私が赤ちゃんの時に、亡くなってしまった。
 物心がつく前の前だから、いなくて寂しいって気持ちはわからない。

 でもそれでも、ママってどんな人なんだろう? っていつも考えてたよ。
 新しいママのマリアさんは、きっとママに似てるんだろうな~って思う。

 複雑な家庭だけど、みんな優しくて今とっても幸せ!

 学校に来ると、ママ見てる? 私も学校で頑張ってるよ! って毎日が参観日みたいな気持ちになるんだ。

 お嬢様で上品な人が多いけど、私は私らしく……! 地味でもね!

 最近、ちょっとお兄ちゃん達の影響で~私もポジティブになってきてるかも!?

「ミナコちゃん、転校生が来るってホント?」

「ホント! ホント~!! 私は委員長だからさ金曜日に言われてたの! ルウにだけ教えてあげたの。詳しい事は知らないけどね」

「えへへ、ありがと。楽しみだね」

 私達はヒソヒソ話をした。
 あまり転校生って来ないから、どんな子かな。

「きっと緊張してるだろうから、いっぱい話しかけてあげないと」

 ミナコちゃんって元気いっぱいで、人見知りもしないの。
 私も見習って転校生の子には沢山優しくしてあげなきゃ。

 そして……朝の学活。
 
「皆さん、はじめまして。雨塚(あまつか)ナビキと言います」

 栗色の巻き髪で、青い瞳。
 雰囲気が聖お兄ちゃんにちょっと似てる。
 天使みたいな男の子だった。