車のハンドルにおでこをつけて下を向いた。
「頑張る…頑張れる…」
深呼吸をして怜ちゃんの手を離した。
車からおりて助手席のドアを開けてくれた。
「今日はありがとう、怜ちゃんとドライブ行けて楽しかった」
「こちらこそありがとう」
バイバイと手を振って車を見送り家に入る。
「ただいまー」
「おかえり」
両親がリビングにいた。
「おみやげ」
「おっ、焼き鳥か」
「うん、この前行ったら美味しくてまた行ってきたの」
お母さんがビールを出していた。
「雅臣くんもしんどいだろうなぁ」
「そう…だと思う」
「若すぎる、信用を得ないと、しっかりフォローするんだぞ」
「まあ、普通に仕事してるよ」
「雅臣くんは怜花がいれば頑張れるんじゃないの?」
「どうして?」
「小さい頃から好きだからよ、やっと日本に帰れて喜んでるでしょ」
「昔の事でしょ?」
「昔の約束、憶えてないの?」
「何?それ」
「なんだ、みんなの前でゆびきりげんまんしたのを憶えてないのか?」
「ゆびきり?」
夢でたまに見てたやつだ、相手は臣くんだったの?
「子供達に将来何になりたいか聞いたら怜花はお嫁さんて言ったのよ、そして雅臣くんがゆびきりをして僕がお嫁さんにしますって、みんなで拍手したの、はりせんぼんのーますって可愛かったわ」



