「散歩でもする?」
「うん」
石畳の庭を歩くのに「気をつけて」と雅臣は手を出した。
「ありがとう」と自然に手を繋いだ。
しばらく無言で歩き、自然の音に耳を澄ます。
「私…退屈じゃない?話しもうまく出来ないし…」
「全然平気、鳥の鳴き声とか景色とか綺麗だなーって思ってた」
自分も会話が下手だよと告げる。
「今まで男の人と2人で出かけることなかったんだもん、臣くんが初めてかも」
「嬉しい…怜ちゃんと出かけられて」
「臣くんは優しいからモテるでしょ?」
「ないない、モテないし、あまりグイグイくる人は苦手で…」
「そうなんだ」
「…大樹はモテていたよ」
「話しやすい人だね」
「うん」
「年は同じ?」
「大樹が1つ上かな」
「じゃあ、私と同じだ」
「うん」
社長に友達いないから食事してあげてって言われたのに友達を紹介してくれたら少しびっくりしたと雅臣に言った。
「数少ない友達だよ、シンガポールの友達しかいないから、日本に帰ってきてる人しかいない」
大学を機に戻る人は多くてと言っていた。



