幼い頃、ゆびきりをした人は次期社長候補のあなたでした


タクシーが停まった店はお洒落な焼き鳥屋さんだった。

「焼き鳥、好きです」

店に入ると個室に通された。

あれ?個室なんて、電話とかしてなかったはずなのに…タッチパネルで注文をする。

「ビール飲める?」

「はい、副社長、個室なんていつ予約したんですか?」

「この店は友達が働いてて、怜ちゃんがお見舞いに一緒に行くって言った時におさえてもらってた」

「ふふっ、だからご飯食べに行こうって?」

「うん」

「行かなかったら?」

「1人でくる予定だった」

ビールが運ばれた。

「とりあえず乾杯」

「お疲れ様です」チンと乾杯の音を鳴らす。

「うまい!」
「美味しいです!」

今日は暑かったからビールが美味しかった。

「社長、お元気そうでしたね」

「うん、手術も終わってホッとしてるだろうな」

2回目に注文した品が運ばれてきた。

「雅臣、飲んでるか?これサービス」とビールを2杯追加で持ってきてくれた。

「サンキュー」

怜花に「友達の大樹(だいじゅ)」と紹介した。

「こんばんは」と挨拶をするとじっと顔を見られた。

「怜花さん?」
「はい」
「へぇー、君が雅臣の初恋の人なんだ」
「ぶっ」
雅臣は口につけていたビールを吹き出した。

「大樹!」