運転手は帰らせて病室に行った。
「怜花ちゃん」
「社長、どうですか?」
手術を無事に終えて退屈だよと言っていた。
「もう少しで家に帰れるんだから我慢しろよな」
「これ、秘書課のみんなからですよ」
「ありがとう」
2人は椅子に座ると昨日の焼肉店舗の事を話した。
社長は好きにやってみればいいと言ってくれた。
「自分で気になるというのは何か直さないといけないと思っているからなんだよ、自分で近辺を歩いて考えてみるといい」
「わかりました」
それからは父と息子の会話をしていた。
「私、そろそろ失礼しますね」
「じゃあ僕も帰る」
「副社長は面会時間までゆっくりしていって下さい」
「怜ちゃん、ご飯食べに行こう」
「え、昨日もご馳走していただいたのに…」
「ねえ、行こうよ」
怜花は社長の顔を見た。
「雅臣は昔から怜ちゃん、怜ちゃんて、本当に好きだよな」
「え?」
「親父、言わなくていいから…」
「暇なら付き合ってあげて、まだ友達もいないし(笑)」
わかりましたと返事をした。
「また、来るから」と言うと、父さんのおかげだからなと服をつかまれてコソっと言われた。
病院前に待機しているタクシーに乗り込む。
「えーと、何が食べたい?」
「今度は副社長の食べたいところで…」
「じゃあ、○○へ」と告げるとタクシーは発車した。



