私がそんなこと言われるはずないから、誰か一緒に入ったのかな?


そう思って後ろを振り返ったけど誰もいない。


みんなの話の内容にさっそくついていけないことを自覚して、もう気分が落ちた。


なんだか浮いてる気がするなぁ。


やがて、担任の先生がやってきて、初めてのホームルームがスタートした。


「このクラスで1年間過ごすのですから、自己紹介でもしましょう。」


自己紹介……絶対失敗しちゃダメなやつだ。


私はちょうど真ん中くらいの順番で回ってくるから、前の人の真似をしてけば事故りはしないはず。


私の番がきて、心臓の高鳴りは最高潮。


「さ、桜井ういな、です。趣味は漫画を読むことです。よろしくお願いします。」


一応テンプレートである紹介文を言って、みんなに馴染めるようにできたと思う。


ホームルームも無事に終わって、私たち新入生はもう帰れることになった。


自由時間はあったけど、話しかけてくれる人がいなければ私から話しかける勇気もなかったので友達はゼロ。


もう、どうやったらみんなと仲を深められるの?


エントランスから前庭に出て、少しうろうろとしていたときに、私に向けられた声を聞いた。


「あぁ、いたいた。桜井さん、俺らと帰らない?」


話しかけてきたのは男の子3人組。


女の子が良かったけど、話しかけてくれるだけありがたいことだよね。