この恋がもし、運命じゃなくても

「行ってきます。」

返事なんて返ってこない。
いや、正確に言えば、"返ってきたことない"だ。

そんなこと、とっくの昔にわかっているはずなのに、無意識に振り返っては母の姿を探してしまう。

"私、高校生になったよ"

生きていたら誰よりも嬉しそうに微笑んでくれたはずの母に、心の中でつぶやく。

小さな玄関の鏡に映った自分は、真新しい制服に身を包み、本当にどこにでもいる高校生だ。