電車に乗って、二つ先の駅に移動し、最初の目的地に着いた。
「私の好きな漫画のコラボカフェじゃないですか!」
そう、最初の目的地は日菜が好きな漫画とコラボした人気カフェ。
しかも、コラボしている間は、ヒロイン達が着ていた学生服や私服を着て食事も出来る。
「日菜、俺の選んでくれるか?」
「はい!朔夜先輩、私のも選んでください!」
「ああ」
喜んでくれて良かった。
この前の映画もそうだが、友達には感謝だな。
カフェに入ると沢山の人で賑わっていた。
「いらっしゃいませ。お二人様ですね」
「はい。予約していた新月です」
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
そして、俺達は、店員に着いていく。
「予約してくれてたんですか?」
「ああ」
アイツから連絡が来た後、すぐにな。
「ありがとうございます。嬉しいです」
「俺も日菜が喜んでくれて、嬉しい」
俺が素直に思いを伝える度、日菜は、また、受け止めてくれる。
「はい!」
「こちらが衣装部屋になります。隣の部屋が着替える場所となっております。入って、右が女性。左が男性の部屋です。服は部屋のロッカーにお預け下さい」
「分かりました」
「では、ご用意が出来ましたら、お声がけ下さい」
店員はホールに戻っていった。
「開けるぞ」
「はい」
目の前のドアを開けると思っていたよりもたくさんの衣装が俺達を迎えた。
制服に私服、どれくらい、あるんだよ。
「あー!これは文化祭の時に着ていた、ドレスとタキシード!」
なるほど、人気の回の服が選ばれていたのか。
日菜は、好きな衣装がたくさんあったようで、目を輝かせていた。
「日菜の服、先、選んでも良いか?」
「はい!」
どれが良いだろうか。
俺は、手当たりしだい、気になる服のハンガーを取って、日菜に合わせてみる。
「これだな」
意外とすぐ決まった。
「ありがとうございます!」
と日菜は、迷いなく、服を受け取る。
「もしかして、俺の決まってるのか?」
「はい!もう、決まってます!」
日菜は、ハンガーの列の山に入り、さっと、服を取り、戻ってくる。
「これです!」
「ああ」
俺は、日菜から服を受け取った。
「着替えるか」
「はい」
「それじゃあ、着替えたら、ドアの前に集合な」
「分かりました」
だが、いざ、着替えると少し、窮屈だった。
日菜が選んだ服はタキシードだった。
多分、一緒に観た映画の時のだ。
日菜に選んだ衣装も映画の時に着ていて、日菜に合いそうだと思っていたからだった。
「お待たせしました!」
日菜が着替え部屋から出てきた。
青色のドレスを纏った日菜は、まるで、どこかの国の姫のようだ。
「どうですか?」
日菜はひらりとターンする。
「似合ってる。...可愛い」
「朔夜先輩もかっこいいです!」
「慣れない事、やらせるなよ。結構、首元、締まってるんだぜ。ネクタイも制服に付いてるけど、普段、着けて無かったから、締めるの大変だったんだからな」
「それなら、首元、開けといても大丈夫ですよ。
ほら、こうやって」
日菜はネクタイを少し、緩めて首元のボタンを開けた。
首元が楽になった。
「出来ました!」
と日菜は笑った。
「ありがとな」
「はい、行きましょう!」
「ああ」