今日は、ホワイトデー当日。
日菜と駅で、九時に待ち合わせだ。
まだ、時間に余裕はあるが、急いでいる。
いつも、自分より先に日菜が待ち合わせ場所に着いているからだ。
今日こそは、自分が先に着いたと思っても、日菜がいる。
いつからか、先に着きたいと思うようになったが、日菜より先に着いていたのは、学校の待ち合わせくらいだろう。
でも、今日は俺が先に着いて、日菜を驚かせてやる。
そう思っているうちに、駅に着いた。
日菜は、まだ、来てない。
「朔夜先輩、おはようございます」
「ああ、日菜、おはよう」
・・・えっ?
後ろを向くと、日菜が居た。
「日菜、いつのまに、居たんだ?」
「えっと、急いで、駅に向かう先輩を見かけてからです!」
「それ、いつからだ?」
「いつも、待ち合わせするところの手前です」
嘘だろ...。
「声、かけようと思いましたけど、朔夜先輩がものすごい勢いで歩いていくので、着いていくので、精一杯でした。何か、あったんですか?」
言うしかないか。
「今日は日菜より早く、ここに着きたかったんだ。いつも、日菜、早く来てるだろ。たまには、俺が早く来たら、日菜が驚くと思った」
俺がそう言うと日菜は笑った。
「確かに驚きました。でも、それより、嬉しいです。
朔夜先輩が早く、来てくれて。いつも、私が早く、着いてしまうのは、朔夜先輩に早く会いたいからなので」
その言葉が嬉しかった。俺は日菜の手を取った。
「...ありがと」
「はい!」
「行くか」
最高の一日を始めよう。