チョコと飲み物が無くなるまで、何気ない話をして、何気ない時間があっという間に過ぎた。
そして、日菜を家に送るために、二人きりの電車に乗っていた。
「朔夜先輩」
「何?」
「今日、会えて嬉しかったです」
「俺も」
また、一言で返してしまったが、日菜に伝わっているのは、分かる。
「今度、出かけるのも、楽しみです」
「そうだな」
バレンタインの時の埋め合わせになると良いけどな。
今しかない時間をただ、笑っていてほしい。
「朔夜先輩?」
急に俺が黙りこんだからか、日菜は俺の顔をじっと、見つめていた。
「日菜」
気づけば、日菜を抱き寄せていた。
「ずっと、側に居てくれ」
「もちろんです」と日菜は笑った。