ビターなフェロモン (短)


「わ、私も……一緒にいたいっ」

「! ん。といっても、部室を出たらもうお互いに触れないけどな」


ごめんな、と謝る蓮人くんに私も申し訳なくなって、同じように謝った。

でも――


「一緒に居られるなら、それだけで……嬉しい」

「ぅわ……超マイルドなの来た」

「ん?」

「なんでもない」


互いの息が上がってきたところで、部室に到着する。

そして、ガチャリと。

新しい関係になった私たちの、最初のドアが開いた。


「あのさ、桃子」

「はぁ、はぁ……ん、なに?」

「これから、よろしくな」


蓮人くんを見ると、ニッと笑い返してくれる。

その笑顔は、今までの蓮人くんとは違っていて……彼女に向ける、特別な眼差しに思えた。


「こちらこそ、よろしくお願いしますっ」

「ん。じゃあ、行くか」

「え、わ、わぁ……!」


ひょいと私をお姫様抱っこした蓮人くんは、スタコラサッサと部室の中へ入った。

そして私に抱きつき、キスをしながら――

部室のドアを、静かに閉めたのだった。



𝙚𝙣𝙙 .



(※あとがきは感想ノート上部にて)