ビターなフェロモン (短)


グイッ


「え、あのっ。どこに行くの?」

「部室。俺が今日もってきた着替えがあるから」


正式なバスケ部員じゃないのに、着替えを持って来るなんて……。

ただ一度ヘルプを頼まれただけなのに、とことん付き合ってあげる優しさは、なんとも蓮人くんらしい。


「でもなぁ、着替えって言ってもさ」

「はぁ、はぁ……ん?」

「それだけで終わらないの、桃子だって分かるだろ?」

「!」


フェロモンのせいで息を荒くしている私を見て、蓮人くんは赤面して言った。


「……優しくするから、そんな構えるな」

「は、ぃ……っ」


優しくってことは、これから蓮人くんは私に――

あぁ迷惑かけすぎだよ、私……っ。


「蓮人くんの手を煩わせて、ごめんなさいっ。さっきのは、その……体が勝手に動いて、」

「! それってさ、なんで?」

「なんで……って」


ニッと笑った蓮人くんは、


「もしかして皐月より俺のこと好きだから? なーんてな」


と少しおどけた。