ビターなフェロモン (短)



「……」


ポケットからスマホを出す。

そして皐月くんと蓮人くんが並ぶ連絡先を開いた。


「私は……」


するとボーッとしていたせいで、浮かせていた指が画面に当たってしまう。

スマホは即座に反応し、なんと蓮人くんに電話をかけてしまった。


「わ、わわ! キャンセル、キャンセルで!」


慌てて切った。
たぶん鳴ったとしても、ワンコール。

さっき蓮人くんはバスケをしていたし、ワンコールなら気づかないよね。

早く切ることが出来て良かった――なんて安心した、


その時だった。


「桃子!」

「え――」


焦った様子で私を呼ぶ声。

振り向くと、息を切らせた蓮人くんが、バッシュのまま外に出て私を追いかけていた。


「え、蓮人くん。なんで……?」

「なんでって、お前が電話したんだろ。俺に」

「した、けど……それは間違いで」

「はぁ?」


なんだよ――と言って、ヘナヘナその場に座る蓮人くん。

私はまだ驚いていて……さしていた傘を、トサッと落としてしまう。


だって、だって――