ビターなフェロモン (短)


「でも、こう……なんというか」


あからさまに避けられるのって、けっこう傷つくものだね……。

それなのに私ってば、長年「怖い」といって蓮人くんを避けて……うわぁ、私って本当に酷い人だ。


「桃子? 」

「え、あ……えと、ごめんね。ありがとう」

「?」


小首を傾げる蓮人くんに「早く保健室行ってね」と言った私を、ドアの近く、廊下に立ったままの皐月くんが見ていた。

かと思えば――


「ねぇ、桃子!」


大きな声を出して、教室の中にいる私を呼ぶ。

その声は、もちろんクラス中の皆に響いて……。

いくつもの視線が、皐月くんに集まった。


だけど皐月くんが見つめるのは、私。

私、一人だけ。


「皐月くん……ど、どうしたの?」

「桃子、今日も一緒に帰るよね?」


基本的に、帰宅部の私と皐月くんは一緒に帰る。

今日もしかり。なので、コクンと頷くと――