「はぁ、はぁ……っ」

「はぁ。ふ~……――桃子、平気?」

「う、うん……」


胸に手を当てて、深呼吸を何度か繰り返す。


だけど、いっこうに心臓は穏やかにならなくて。

だけど、体の熱は引いて行って……もう体がぐちゃぐちゃだ。


「さっきの……」

「っ!」


ビクンと、私の両肩が盛大に跳ねる。

そう言えば、さっき私、蓮人くんに「触って」とか「キスして」とか。

とんでもない事を言い続けてる……!

それに、結果的にキスしちゃったし……!



『桃子、桃……』


「~っ!」


さっきのキスを思い出して、また顔が赤くなる。

だって蓮人くん、さっき別人みたいだったんだもん。


キスの間、私の名前を優しい声で呼んでくれた。

唇が繋がってる時に目を開けたら、つりあがった瞳と、柔らかい視線がぶつかった。

それに……私のことを「桃」って呼んだ。


すごく、大切な名前を呼ぶように――