「ナイスキャッチ。あ、それで良かった?」

「飲めれば何でも。海斗が奢ってくれるなんて珍しい、何かあった?」

「何かあったのはお前の方だろ」


あの日を境に透は変わってしまった。
今まで簡単にしていたハグやキスを、全くと言って良いほどしなくなった。


その理由を聞いても透は何も言わない。
「色々あってね」と言葉を濁すばかりだ。


「俺?何もないよ、別に」

「じゃあどう思ってんだよ、石川さんのこと」


コーヒーを飲もうと口元まで来ていた缶の動きが止まる。
それも一瞬で、次にはもう苦みを飲み干していた。


「なんでそれを海斗が聞くのさ、海斗に関係ないでしょ」

「関係なくない。友達だろ、俺ら。」


少年漫画みたいな、青臭い台詞を吐いた。
日頃人気者とかイケメンとか、そう言われている俺達には似合わないと思われるかもしれない。


青臭い台詞より、かっこつけたような台詞の方が似合うと思われているのかもしれない。