ヴァーリックは執務室の一角にある足の長いテーブル席へとオティリエを案内してくれた。


「補佐官たちと食事をしたり、みんなで作業をするときにこのスペースを利用するんだ。僕はみんなと一緒に食堂には行けないし、他の部屋に移動をすると時間がもったいないだろう? 応接テーブルだと食事は取りづらいしね。だから、エアニーに頼んでこうしてスペースを用意してもらったんだよ」

「そうなんですね」


 会話をしながら下座を確認すると、オティリエはそちらのほうへ足を向ける。


「オティリエはこっち。僕の隣に座って」


 が、すぐにヴァーリックに引き止められ、席を指定されてしまった。


(いいのかな?)


 ヴァーリックの隣だなんておそれおおい。新参者がそんないい席に座っていいものか……チラリとエアニーのほうを見ると、彼はコクリと大きく頷く。


【大丈夫。ヴァーリック様がお望みなのですから、そのとおりになさってください】

(ヴァーリック様がお望み……)


 オティリエがおずおずと顔を上げる。すると、期待に満ちたヴァーリックの瞳がこちらをまっすぐに見つめていた。