オティリエは残りのドレス選びをカランに一任し、ヴァーリックの執務室へと向かっていた。
 広い城内をエアニーの先導を受けて突き進む。
 彼はオティリエのドレスをチラリと見つつ【なるほど】と心のなかでつぶやいた。


「それはあの、及第点ということでよいのでしょうか?」


 仕立て屋には褒めてもらえたし、オティリエ自身も気に入っている。けれど、他人の意見は気になるものだ。特に、ヴァーリックの補佐官であるエアニーの意見は事前に聞いておきたいところ。


「ええ。あなたによく似合っていますし、城内で働くに適しているかと」

「そうですか……! よかった」


 やはりドレス選びをカランに任せたのは正解だった。オティリエひとりだったら、店員の意見をそのまま採用していただろう。自分に似合わないドレスに満足していたに違いない。


「それにヴァーリック様好みの服装です」

「……! そう、なんですか?」


 その瞬間、オティリエの胸がドキドキと騒ぎ出す。動揺を悟られたくない――オティリエはほんのりとうつむいた。