【オティリエさん、ヴァーリック様は本当に素晴らしい方です。オティリエさんを心配して、ご自分で直接迎えに行くと言って譲らなかった。急がなければオティリエさんが家族からひどい目に合わされてしまうかもしれないと、寝る間も惜しんでご自分でいろんな手配をなさっていた。あなたが気に病まないよう、ぼくがすべてを手配したかのようにおっしゃって……本当に、優しい方なんです】


 エアニーは相変わらず無表情だ。けれど、表情に出ないだけで彼の心はとても温かい。


「そういうわけだから、オティリエにはエアニーと仲良くしてやってほしいんだけど」


 そう口にするヴァーリックはどこか不安そうな表情だ。オティリエは微笑みつつ、力強くうなずいた。


「もちろんです! ヴァーリック様、私、エアニーさんのこと、とても好きになってしまいました」

「……え? 好き? とても?」


 ヴァーリックが尋ねる。オティリエはもう一度力強くうなずいた。


「はい! 好きです」

「なんで? 僕もまだ、オティリエにそんなこと言ってもらったことないのに!?」


 驚き首を傾げるヴァーリックを見ながら、オティリエは――それからエアニーはクスクスと笑うのだった。