そんなことがあった翌日のこと、オティリエは父親に呼び出された。『話がある、一緒に食事をするように』とのことらしい。


(お父様と食事、か……)


 気が重い。まったく嬉しいとは思えない。二日連続で食事ができることよりも、父親と……姉のイアマと話をしなければならない心労のほうがよほど大きかった。


(一体なにを言われるのかしら? ……どんなことを思われるのかしら?)


 想像をするだけで身体が鉛のように重たい。それでも、オティリエは指定された時間に食堂へと降りた。


「あら、驚いた。オティリエったらまだ生きてたのね? もう何日も会っていないから、部屋で野垂れ死んでるんじゃないかと思っていたのに」


 オティリエを見るなりそう口にしたのは姉のイアマだ。ケラケラと楽しげに笑ったのち「冗談よ」と小さくつぶやく。


【寧ろ死んじゃえばよかったのに】


 次いでそんな心の声が聞こえてきた。オティリエにはそれが聞こえているとわかっているのにも関わらず、だ。曖昧にほほえみつつ、オティリエは空いた席へと腰掛けた。


「あなたが同席すると食事が不味くなるのよね。辛気臭いっていうか、食堂がジメジメする感じがするの」

「……存じ上げております」


 だからこそオティリエはわざわざ自分の部屋で食事をとっているのだ。そんな事情をイアマだってわかっている。わかっていながらあえて言葉にし、オティリエに心の傷を負わせているのだ。

 とそのとき、二人の父親が食堂へとやってきた。