「さて、これで邪魔者はいなくなった」


 ヴァーリックが言う。オティリエは驚きを隠せないまま、彼をまじまじと見つめた。


「ヴァーリック殿下、あなたは一体……」

「考えてみて? 僕はどんな能力を持っていると思う?」


 どうやらヴァーリックはオティリエに自力でこたえをみつけてほしいらしい。ニコリと微笑みながら少しだけ首を傾げた。


(ヴァーリック様の能力)


 彼が特殊な力を持っているのは間違いない。ヴァーリックの母親にはアインホルン家の血が流れているし、イアマとの応酬からもその片鱗がうかがえる。オティリエはこれまでの経緯をつなぎ合わせ、やがて一つの結論にたどり着いた。


「ヴァーリック殿下はわたくしたちの能力の影響を受けない――いいえ、受けたり受けないようにすることができるのでは?」

「御名答。よかった。ちゃんと自分でたどり着けたね」


 嬉しそうに笑いながら、ヴァーリックがオティリエの頭を撫でる。オティリエは驚きのあまり、飛び上がりそうになってしまった。