【書籍&コミカライズ】魅了持ちの姉に奪われる人生はもう終わりにします〜毒家族に虐げられた心読み令嬢が幸せになるまで~

(いけない。昔のことを思い出して凹んでいたら、ヴァーリック様を傷つけてしまうわ)


 オティリエはニコリと微笑み、ヴァーリックの手を握り返す。


「嬉しいです。当日、楽しみにしています」

「うん」


 ヴァーリックはそっと目を細めると、オティリエをギュッと抱きしめた。


***


(うわぁ……!)


 聖誕祭当日、街は人々でごった返していた。


(知らなかったわ。去年は神殿の件でお城に缶詰状態になっていたから)


 オティリエは人の波に揉まれつつ、ただただ圧倒されてしまう。
 これだけ人が多いとヴァーリックやオティリエの顔を知っている人間も多いはず――ということで、二人は平民の装いをし、髪や目の色を変えて出かけていた。