(それにしても)


 ヴァーリックとエアニーは子供の頃からの付き合いだが、こんなふうに等身大の感情、心の内を聞かせてもらったのははじめてだった。

 ヴァーリックはいつだって理知的で、年齢よりもずっと大人びていたし、他人に対して迷いや憂いを見せることはなかった。相談を持ちかけられるときはいつも、ヴァーリックのなかに答えがあって、それを後押ししてほしいというときばかりだったのである。

 けれど、ヴァーリックはまだ十七歳。年齢相応に悩んだり、迷ったりして当然だ。


(本当になんということだ……! こんなふうにぼくを頼っていただける日が来るなんて!)


 なにが一番嬉しいって、こんなヴァーリックを知っているのは、エアニーだけだということだ。

 きっと、ヴァーリックはオティリエの前では迷いなど微塵も感じさせず、スマートで完璧なエスコートをするのだろう。そのために、エアニーへの相談を終えたあとも、ヴァーリックは一晩中オティリエのことを考え続け、できうる限りの準備をするに違いない。ヴァーリックはそういう人だ。