(いよいよだ。一体どんなご相談をいただけるのだろう……)


 エアニーは手に汗を握り、ゴクリとつばを飲んだ。


「明日のオティリエとのデート、どんな服を着ていったらいいと思う?」

「……え?」


 オティリエさんとのデート、とつぶやきながらエアニーはぱちくりと目を瞬かせる。
 ヴァーリックがオティリエを誘ったときにその場にいたので、当然エアニーも出かける経緯等を把握している。けれど、まさかヴァーリックからそんなことを相談されると思っておらず、エアニーは心から驚いてしまった。


「驚いただろう? こんなことを相談されて」


 ヴァーリックが言う。見れば、ヴァーリックは恥ずかしそうに目を逸らしながら真っ赤に頬を染めていた。


(かっ……!)


 しまった。可愛い、だなんて男性に対して思うべきではないだろう。けれど、エアニーには他に言葉が見つからないし、密かに悶絶してしまう。


「正直、驚かなかったと言ったら嘘になります」


 己を必死に落ち着かせたあと、エアニーはヴァーリックに正直な感想を伝えた。


「そうだよね。僕自身、とても驚いているんだ」


 と、ヴァーリックは照れくさそうに笑う。
 エアニーはんんっと咳払いをしてから「具体的にはどういうことをお考えですか?」と尋ねた。