(だけど、私は皆と一緒に働きたいのに)


 シュンと落ち込むオティリエの肩をヴァーリックが叩いた。


「オティリエ、君の気持ちはよくわかる。だけど、今夜はいったん帰って休もう。体を壊しては元も子もないからね」

「……わかりました」


 オティリエは荷物をまとめると、誰にもバレないように小さくため息をついた。

 女性に生まれたことをこんなにもどかしく思うのははじめてだった。まだ働いている同僚たちに申し訳ないという気持ちも強く、なんとかこの場に残れないものかと考えてしまう。もちろん、エアニー以外の他の補佐官たちも、そんなことをしたら喜ばない――彼らの心が読めるオティリエには、そうわかっているのだけれど。


「それじゃあ行こうか」


 ヴァーリックに促されオティリエは執務室を出た。後ろ髪を引かれる思いで、執務室の扉を振り返る。


(戻っていいよ、って言ってくれたらいいのに)


 だが、エアニーの性格を鑑みるに、絶対譲ってくれないだろう。

 ヴァーリックに挨拶をして今夜は部屋に戻ろう――そう思った時だ。


「部屋まで送るよ」


 ヴァーリックからそう言われて、オティリエは目を見開いた。