『幼い頃の僕は、自分の能力が好きじゃなかったんだ』
ふと、オティリエははじめて会った夜のヴァーリックの言葉を思い出す。
『だって、僕の能力って、自分自身でなにかができるわけじゃないんだよ? 母上なんて未来を視る能力があって、立派に国を守っているというのに、僕は他人の能力がなければなにもできない。腹立たしくて、悔しくて、拗ねていた時期がかなり長かったんだ』
おそらく、この頃のヴァーリックはまだ、他人の能力をただ羨んでいた時期なのだろう。自分がどれだけ素晴らしい能力を持っているか気づかないまま……。
(そうだわ!)
「あ、あの! ヴァーリック様にお願いがあるのですが」
「どんなこと?」
オティリエは気を取り直して、ヴァーリックの方を向く。ヴァーリックは心の声を微塵も感じさせない笑顔で、オティリエに応じた。
「ヴァーリック様の能力を私に渡していただけませんか? そうすればればきっと、現代に戻れると思うんです!」
「僕の?」
オティリエの話を聞くと、ヴァーリックは驚きに目を見開く。だが、ややして悲しそうな表情を浮かべた。
ふと、オティリエははじめて会った夜のヴァーリックの言葉を思い出す。
『だって、僕の能力って、自分自身でなにかができるわけじゃないんだよ? 母上なんて未来を視る能力があって、立派に国を守っているというのに、僕は他人の能力がなければなにもできない。腹立たしくて、悔しくて、拗ねていた時期がかなり長かったんだ』
おそらく、この頃のヴァーリックはまだ、他人の能力をただ羨んでいた時期なのだろう。自分がどれだけ素晴らしい能力を持っているか気づかないまま……。
(そうだわ!)
「あ、あの! ヴァーリック様にお願いがあるのですが」
「どんなこと?」
オティリエは気を取り直して、ヴァーリックの方を向く。ヴァーリックは心の声を微塵も感じさせない笑顔で、オティリエに応じた。
「ヴァーリック様の能力を私に渡していただけませんか? そうすればればきっと、現代に戻れると思うんです!」
「僕の?」
オティリエの話を聞くと、ヴァーリックは驚きに目を見開く。だが、ややして悲しそうな表情を浮かべた。



