【書籍&コミカライズ】魅了持ちの姉に奪われる人生はもう終わりにします〜毒家族に虐げられた心読み令嬢が幸せになるまで~

(私、過去に飛ばされてしまったのね)


 どうしよう――ドクンドクンと心臓が鳴る。

 時間が経てば現代に帰れるならばいい。けれど、そんな保証はどこにもない。
 そもそも、オティリエを過去に送った女性の心の声――さようならと言っていた――を思い出すに、事態は絶望的と言わざるを得ないだろう。


「君、大丈夫?」


 ヴァーリックは今にも泣き出しそうなオティリエを心配し、優しく声をかけてくれた。心の中ではオティリエを信頼していいのか、危険はないかを必死で考えているのに、困っている人をどうしても放っておけないのだろう。


「ありがとうございます、ヴァーリック様」


 オティリエは涙をこらえながら、懸命に笑った。どれだけ絶望的な状況でも、側にヴァーリックがいると思うと強くなれる。
 ヴァーリックは少しだけ目を見開くと、ほんのりと頬を紅く染めた。


「あの……僕でよければ話を聞こうか?」

「え?」


 オティリエは静かに息を呑んだ。