【オティリエさえいなければわたくしはもっと幸せだった! あんたさえいなければ!】


 オティリエの頭の中でイアマの絶叫が響く。消えろ、いなくなってしまえ! という言葉にオティリエの胸が激しく痛む。


(これは……お姉さまの能力が暴走している?)


 ただごとではない様子にオティリエは震え上がってしまう。


「オティリエ、目をつぶるんだ! イアマ嬢の瞳を見ちゃいけない」

「だけど……!」


 このままではヴァーリックが危険だ。彼の能力をもってしても防ぎきれないかもしれない。オティリエがヴァーリックを守らなければ――。


「アハハハハ! だからあんたは愚かだって言うのよ!」


 と、イアマがオティリエの胸ぐらをグイッと掴む。至近距離に迫るイアマの瞳。その瞬間オティリエは意識がクラッと遠のいた。


「あっ……」

「オティリエ!」


 ヴァーリックがすぐにイアマを床に組み伏せる。
 だが、そのときにはもうイアマの両目は光と色を失っていた。


「ふふ……もっと早くにこうすればよかった。もっと早く…………」


 イアマの瞳から涙がこぼれ落ちる。狂ったような笑い声が室内に響き渡る。ヴァーリックはすぐにオティリエのもとへと向かった。