「理由は当然存在する。イアマは素行不良ゆえ、対象者から除外されたとのことだ」

「素行不良……? そんな馬鹿な。わたくしのどこが素行不良だって言うのよ?」


 イアマの問いかけに父親はこたえない。彼女はわなわなと唇を震わせつつ、ガンとテーブルを叩いた。


「わかったわ。本当はオティリエが悪いんでしょう? あの子がわたくしを陥れるために妃殿下に嘘の進言をしたのよ! だからわたくしはお茶会に呼ばれなかった! 王太子妃の候補者にすら入れてもらえなかった! そうに違いないわ!」

「イアマ……」

「だったら、今からでも遅くはない! お父様から妃選びをやり直すように言って! こんなの絶対に納得できない! 認められるわけが……」

「イアマ!」


 父親が大声でイアマを遮る。イアマはビクッと身体を震わせたあと、唇をつぐんだ。


「もう決まったことだ。おまえがどれだけ駄々をこねても、今回ばかりはどうしようもできない」