それから数日後、いよいよお茶会当日がやってきた。


(お天気に恵まれてよかったわ……!)


 オティリエは窓から外を眺めつつ、ホッと胸をなでおろす。
 招待客に喜んでもらえるよう、王妃と一緒にいろんなことを検討し、大事に作ってきたお茶会だ。最後まで上手くいってほしいと切に願う。


「いよいよですね、オティリエ様」


 カランはそんなことを言いながら、オティリエの身支度をテキパキと整えてくれた。彼女が今日のためにメイクやヘアアレンジを改めて研究し、一生懸命備えてくれていたことをオティリエは知っている。ありがたい……と同時に、なにやらむず痒い気持ちにさせられる。


【あぁ……どうしよう! オティリエ様が妃に選ばれたら、あたしは王太子妃の侍女になるのかぁ! 夢よねぇ。素敵過ぎる】


 お茶会へ招待されたことを打ち明けないわけにはいかなかったものの、こんなふうに勘違いされてしまっては居心地が悪い、というのがその理由だ。


(ごめんね、カラン。ヴァーリック様が私を妃に選ぶことはないと思うんだけど)


 お茶会に招待されただけで、そういう可能性があると思われているのが恥ずかしい。あまり期待をされてしまうと、ダメだったときに申し訳ない気持ちになってしまうので、ほどほどでお願いしたいところだ。
 とはいえ、カランの夢を壊すことも忍びない。オティリエは曖昧にほほえみながら私室をあとにした。