「どう?」

「……思っていた味と違っていてビックリしました」

「でしょう? よかったわ、私だけじゃなくて。だけど、慣れてきたらこれが結構癖になるのよ? 他にもね、色々と茶葉を用意させたの。これは我が国よりもずっと暑い地方で栽培されたお茶の葉。香辛料と一緒にいただくんだそうよ? それからこれはね……」


 準備を進めているというより、ただお茶を楽しんでいるだけなのだが、王妃の話は多岐にわたって面白く、オティリエはふっと目元を和らげる。


(もしもお母様が生きていたら、こんなふうにお話ができたのかしら?)


 オティリエたちの母親は、オティリエがまだ小さい頃に亡くなってしまった。亡くなる前に母親がイアマの魅了の影響を受けていたかどうか、オティリエはまったく覚えていない。けれど、母親が生きていたなら彼女の扱いはもう少しマシだったのではないだろうか……そんな夢を見てしまう。


「私ね、娘を持つのが夢だったのよ?」


 とそのとき、王妃がそんなことを口にして、オティリエは思わず目を丸くした。