オティリエは早速、ヴァーリックの妃選びのお茶会のために働きはじめた。
 午前中は王妃の執務室の一角でひたすら高位貴族令嬢たちの資料を読み込みながら誰をお茶会に呼ぶか検討していく。


(こちらのご令嬢は才媛で……こちらの方はものすごい美人だってブラッドさんたちが噂していたわ。それから……)


 今回のお茶会はガーデンパーティ形式を予定しているらしく、招待客の数は多くても構わないらしい。
 となると、基本的には条件を満たしている女性全員を招待することになるのだが、なかにはイアマのように社交界で問題視されるような行動を起こしている令嬢もいるため、招待客選びには細心の注意が必要だ。


(……うん。もう少し情報集めなきゃね)


 暫定リストに調査項目を書き加えつつ、オティリエはふぅと息をついた。


 昼食後は王妃と一緒にお茶を飲みながら、お茶会の準備についてひたすら話し合った。


「最近は若い令嬢の間で、東洋から渡ってきた茶葉が流行っているらしいの。なんでも健康にとってもいいんですって。ほら見て、色も鮮やかで美しいでしょう?」

「本当ですね」


 飲んでみて、とティーカップを渡されて、オティリエは一口飲んでみる。……が、これまで味わったことのない渋みが口いっぱいに広がり、思わず顔をしかめてしまった。