「それから、招待客のリストアップと並行して、お茶会の内容について私と一緒に検討をしてほしいの。当日お出しするお茶やお茶菓子、食器の種類に、会場のレイアウトや音楽、お花……決めなきゃいけないことがたくさんあるのよ」

「はい、妃殿下」

「普段は補佐官や女官にお任せするんだけど、こういった大きな催しはさすがにね……妃としてのセンスや手腕が問われてしまうし」

「なるほど……大変勉強になります」


 それは、これまでオティリエが行ってきた仕事とは性質からしてまったく違う。招待客を楽しませることは妃として重要な使命なのだろう。そのための補佐をするのだと考えれば、なんとなく頑張れそうな気がしてくる。


(妃としてのセンス……これは責任重大だわ。最近の流行や女性が好きなものについてしっかりリサーチしておかなきゃ)


 オティリエは必死にメモをとりながら、密かにつばを飲みこんだ。


「リストが固まったら、最後に招待状の作成もお願いしたいの。ヴァーリックったらあなたの文字が可愛いっていつも自慢してくるのよ?」

「ヴァーリック様がそんなことを?」

「ええ。受け取る側もオシャレで可愛い招待状のほうが嬉しいでしょう?」


 恥ずかしい。けれど嬉しくて口元がニヤけてしまう。


「……精一杯務めさせていただきます」

「ええ、よろしくね!」


 王妃はそう言って満足そうにほほえんだ。