その後、辺境伯の屋敷について大規模な調査が行われた。彼の所有する騎士団はもちろんのこと、私室や執務室、応接室や使用人の部屋、別邸、愛人宅に至るまで徹底的に。

 彼が謀反の首謀者であることは事前の調査で明らかだったが、屋敷内で発見された資料や武器の類、資産状況はもとより、神殿の宝物庫から持ち出された宝物のいくつかが発見されたことが動かぬ証拠となり、国は辺境伯の罪を追及することができた。


 この際問題となったのは、誰に対し、どこまで罪を問うかということである。


 彼の血縁、縁故者を一律に罪に問うことは簡単だ。けれど、なにも知らなかった人間まで罰してしまうのは適切ではないし、相手が『自分は無関係だ』と嘘をつく可能性だってある。関係者を取り逃がしてしまったら、人々を不安に陥れることになってしまうのだ。


 ここで活躍したのがオティリエの能力だった。彼女の能力を使えば相手の本心を簡単に読み取ることができる。水晶を使用すれば数人分の調査を同時に行うことだって可能だ。

 その結果、辺境伯の血縁・縁故者にかかる取り調べは過去に例を見ないほど迅速に行われた。

 ひとまず辺境伯家及びブランドン男爵家は財産を没収、爵位を剥奪されることが決定。それ以外の処罰については追ってくだされることとなっている。
 今後の調査については一般の文官に引き継がれることとなった。