「すでに手元にある資料の内容については手分けして精査しよう。神官の人数について領主たちに確認を行う。あとから名簿とも照合するように。修繕契約については内容におかしなところはないか――金額の設計について特に詳細に調査したい。修繕箇所の確認は今からするけど、後日有識者も呼んで。施工業者に裏もとるように。それから来殿者数、寄付金額についても最低一週間は調査したい」

「承知しました。采配は僕が行いましょう」


 エアニーがそう返事をする。ヴァーリックは大きくうなずいた。


「オティリエ、この件については君の働きがかなり重要な鍵を握ることになる。……やってくれるね?」


 まだ具体的になにを任されるかはわかっていない。けれど、ヴァーリックの言うようにオティリエにしかできないことがたくさんあるはずだ。多くの人の命が、平和が、オティリエの働きによって守れるかもしれない。


「はい、ヴァーリック様」


 返事をしつつ、オティリエはグッと気を引き締め直した。