「以上がティオリオルン神殿の概況でございます」


 それから数分後、神官からの説明が終わった。その間不穏な心の声は聞こえてこなかったが、オティリエは未だに緊張で身体がこわばったままだ。


(何事もないならそれでいい。だけど、さっきの言葉が本当なら……)


 なんとしても真相を掴まなければならない。オティリエはゴクリとつばを飲んだ。


「説明をありがとう神官長。僕からいくつか質問をしても?」

「もちろんでございます、ヴァーリック殿下。どうぞ、なんなりとお尋ねください」


 神官長――オティリエが心の声を聞いた男性だ――は揉み手をしながらヴァーリックに向かってニコリとほほえむ。


「まずは神官の数なんだけど、この資料に書かれているのはティオリオルン神殿の本殿以外――各支所の神官たちの数も合計しているということで間違いない? 数年前と比べて随分人数が増えているんだね」


 ヴァーリックの質問に神官長の眉がピクリと動く。