(あと数年したら、もう少し近くの席に座れるかしら?)


 それ以前に、まずはなんとしても補佐官として残留できるように頑張らなければならない。オティリエが気合を入れ直したそのときだった。


【まあ、嘘だけどな】


 と、心の声が聞こえてくる。


(え……? 嘘?)


 しかもその声は、現在概況を説明している神官のものとピタリと一致しているではないか。


(どういうこと?)


 もう少し詳細が聞きたい。オティリエが身を乗り出すと、神官はクククと笑い声をあげた。


【馬鹿な奴らめ。毎度毎度形だけの視察や監査に満足して。我々が謀反の準備をしているなんて、どうせ今回も気づかないに違いない】

(そんな、謀反って……!)


 オティリエの心臓がドッドッと嫌な音を立てて鳴り響いた。