「これまで補佐官は男ばかりだったから、こんなに可愛い子が入ってくれて嬉しいんだよね。場が華やぐっていうか、和らぐっていうか」

「そうだな。エアニーさんなんてほとんど雑談をしないから、なに考えているかわからないところがあるし」

「あぁ……そう、ですよね。そう見えますよね」


 同僚たちの言うとおり、エアニーは必要なことだけを口にするタイプだから、周りからは不思議な人に見えるらしい。けれど、彼は存外熱い人だし、いつもヴァーリックや彼の補佐官のことを考えている。


(……さすがに本人の許可なしにそれを伝えることはできないけれど)


 なんだか損をしているなぁとオティリエは思う。


「ねえ、心の声ってどんなふうに聞こえるの? 俺たちやエアニーさんが考えていることもわかるってことだよね?」

「はい、聞こえます。どんなふうに聞こえるかは……ええっと、口で説明するのが難しいので、実際に体験していただくほうが早いかもしれません」

「体験?」


 首を傾げる同僚――ブラッドの手をオティリエはそっと握る。


【あっ、ブラッドのやつ! オティリエさんに手を握られてる! 羨ましい。俺も握ってほしいのに】


 と、別の補佐官が心のなかでつぶやく。一方ブラッドは目を丸くしたあと、彼女の顔を覗き込んだ。