休憩時間、オティリエは同僚補佐官たちと穏やかに談笑していた。


「オティリエさん、大分仕事に慣れてきたね」

「はい。皆さんのおかげです。ありがとうございます」


 今日はヴァーリックに会食の予定があるということで、部屋にはエアニーを除いた補佐官たちだけしかいない。滅多にない機会なので、なんだか少しだけ緊張してしまう。それに対し、補佐官たちはヴァーリックがいないために少し砕けた印象だ。


「個人講師もほとんどついたことがないって聞いていたからどうなることかと思ったけど、飲み込みが早くて本当にびっくりしたよ」

「本当、本当。まだ三カ月しか働いていないとは思えない。いつも正確・丁寧に文書を作成してくれるし、頭の回転もすごく早いだろう? 法律の条文や各分野の専門知識もおそろしいほど頭に入っているし、普通の文官よりもずっと優秀だよ。きっと俺たちの見えないところで努力をしてるんだろうなぁって。さすがはアインホルン家。……いや、ヴァーリック様が可能性を見出しただけのことはある」

「えっ、あっ……そうでしょうか?」

「「そうだよ」」


 オティリエには彼らの心の声が聞こえるため、そういった本音の部分を事前に知っている。けれど、実際に言葉にされるのははじめてなので、少しだけ照れてしまった。