「大丈夫だよ。僕は君たちを信頼している。身の安全は完全に保証されているってね」


 ヴァーリックが言う。彼の言葉と笑顔に騎士たちがウッと息を呑む。オティリエは思わず顔を上げた。


「それに、話をするのは僕じゃなくてオティリエだ。どんな発言を受けても責任は僕がとるし、君たちへの影響はなにもないから」


 今は心の声が聞こえているわけでもないのに……ヴァーリックは騎士たちの懸念を感じ取りきちんと解消してやっている。


「さあ、オティリエ」


 騎士たちが後ろに下がると、ヴァーリックはオティリエの肩をそっと押す。


「ありがとうございます、ヴァーリック様」


 オティリエは深呼吸をしてから、ゆっくりと身をかがめた。


「あの……」

「どうして……どうしてこんなことに? 俺の計画は完璧だったはずなのに。どうして事件を起こす前に止められてしまったんだ? どうして? どうして?」


 耳を近づけなければ聞こえないほどのか細いつぶやき。オティリエはゴクリとつばを飲みながら、さらに身体を近づけた。