この一週間の仕事内容から判断するに、現在オティリエに求められているのは事務処理能力だ。それも十分とは言い難いが、今後、心を読みとる能力が必要となるかはわからないし、今のところ使いこなせる自信もない。


(……私ももっとヴァーリック様の役に立ちたいんだけどな)


 誰にでもできる仕事なら、ヴァーリックがオティリエを拾ってくる必要はなかった。瞳の色を変化させたり、物から情報を読みとったり……エアニーや他の補佐官は立派にヴァーリックの役に立っている。

 オティリエも、オティリエだからこそできるなにかがほしい。そうでなければ、ここにいていい理由がなくなってしまう。


「オティリエ、君を連れてきたのはこの僕だ。自分を――僕を信じて。今はまだ側にいてくれるだけで構わない。焦らないで。ゆっくり自分の能力を磨いていってよ」

「……はい、ありがとうございます」


 ゆっくり、着実に。今は力をつける時期だ。――他の補佐官たちも同じことを言うし、オティリエ自身も自分にそう言い聞かせている。

 それでも焦ってしまうのだからどうしようもない。一分が一時間に、一日が一週間に、一週間が一ヶ月になればいいのにと願ってしまう。早く成長したくて……ヴァーリックに追いつきたくてたまらなかった。