「昨日一日働いてみて、どうだった? エアニーたちの前じゃ本音が言えないんじゃないかなって気になっていたんだ」


 ヴァーリックがオティリエの隣に腰掛ける。昨日、昼食で隣りに座ったときよりも距離が近い。緊張を悟られないよう、オティリエは必死に笑顔を取り繕った。


「まだ仕事らしい仕事はできていないのでなんとも。私に務まるのか不安がないって言ったら嘘になります。だけど、エアニーさんをはじめ、他の補佐官もみんな優しくて……嬉しいです。本当に感謝しています」


 オティリエの能力を知ってなお、補佐官たちは彼女に温かく接してくれた。もちろん、オティリエを補佐官にすると決めたのはヴァーリックだから、表立って文句を言うものはいなかっただろう。けれど、心のなかでも彼らは優しく、終始オティリエを気遣ってくれていたのだ。


「……よかった。みんな僕の自慢の補佐官だからね」


 ヴァーリックが微笑む。嬉しそうな表情に、オティリエは胸が温かくなった。


(私もいつか、ヴァーリック様に自慢してもらえるような補佐官になれるかしら)


 ……なれるといいなと思いつつ、オティリエはふふ、と微笑む。