シングルマザーでしたが、オフィスビルで俺様社長と一緒に子供を育てています。

 ギロッと冷たい表情で睨まれてしまった。えぇっ!?
 結局やや強引に社長室に入ることになり、ソファーで八神社長は奏太のおむつを替えてくれた。しかも、何故だが手際がいい。
 周りを見渡しても、きちんと整理をされていて綺麗だし広々としている。いかにも社長室とした感じの部屋だ。だから余計に変な脂汗が出てしまう。
 奏太は泣き止み手足をバタバタと動かして喜ぶ。どうやら機嫌が直ったようだ。

「よし、キレーキレーになったぞ」

 すると八神社長はクスッと微笑んで颯太の相手をしてくれた。キャッキャッといつも以上に上機嫌になっていく奏太に驚く。

(やはり子供に慣れているのかしら?)

 人懐っこい性格の奏太だが、こんなに懐くのは初めてだ。

「すみませんとありがとうございます。あの……子供に慣れているのですか?」

 咲希は不思議に思い尋ねてみた。

「あ? あぁ、昔から子供や赤ん坊に、やたらと好かれるたちなんだ。ベビーシッターのバイトもした事があるし」

 ベビーシッターでバイト!? 意外な経歴に驚いた。
 でも、確かに好かれやすいのだろう。あんな風に優しく微笑まれたら……。
 意外と笑うと柔らかく優しい雰囲気になる。普段はクールで冷たい感じだが。その笑顔を思い出したらドキッとしてしまった。

「えっ……あの……」

 動揺していると彼は急にこちらに視線を向けると、いつものような表情に戻ってしまう。そしてテーブルに置いてあった書類を取ると、咲希に差し出してきた。
 えっ? 見ると履歴書と咲希の身分に対する書類だった。

「これは……?」