シングルマザーでしたが、オフィスビルで俺様社長と一緒に子供を育てています。

 どうしよう……謝罪した方がいいのだろうか?
 オロオロしていると管理人の田中さんがハハッと笑う。

「さて、そろそろ仕事の段取りを教えないと……。大丈夫ですよ。岡野さん。彼は、意外と照れ屋さんですから」

 照れ屋さんって……どう見ても、そうには見えないが?
  いや、それよりも、のんびりした田中さんに驚いてしまう。本当に大丈夫だろうか? とりあえず考えていても始まらないので仕事を教えてもらうことに。
 その後も何とか仕事を覚えながら過ごしていく。
 
 それから数週間が過ぎた頃。制服も出来上がり、少し仕事が慣れてきた。
 咲希自身も安いながらもアパートを借りて奏太と2人暮らしを始めた。
 そして仕事の方は、受け取った郵便の配達や管理側で不都合があった時の電話の対応に手配など。後は外の簡単な掃除ぐらい。
 ビルの中は清掃スタッフが居るのでやらなくてもいい。
 いつものように受け取った郵便物を分けて運ぶため奏太をおんぶして移動する。
 郵便物の中に社長である八神社長宛てのがいくつか入っていた。

(どうしよう。やっぱり緊張する)

 出会いが微妙なだけに、どんな顔をされるかと思うと怖くて仕方がない。
 エレベーターに上がり、79階にある社長室に向かうがドキドキしてきた。
 郵便物を渡して、それから今朝のことを謝罪した方がいいだろう。
 着くと深呼吸してノックをしようとした。だが……。

「ふぎゃああ~」

 さっきまで上機嫌だった奏太が突然泣き出してしまった。

「えっ? どうしたの? 奏太。ご機嫌斜めになっちゃったのかなぁ~?」

 よしよしと、あやすが泣き止まない。一度、管理室に戻った方がいいだろうか?