シングルマザーでしたが、オフィスビルで俺様社長と一緒に子供を育てています。

 本当は凄く嬉しかった。こんな自分でも選んでくれた事が。しかし……。
 目尻に涙が溢れてくる。

「……ありがとうございます」

「それは……返事だと思ってもいいのか?」

「……はい」

 本当は、まだ不安はある。彼を選んでも良かったのかと。
 しかし、もう自分の気持ちに噓をつくのは辛くなっていた。八神社長が好き。
 例え世間は認めてもらえなくても。
 八神社長はクスッと笑うと咲希の唇に塞いできた。まさか彼からキスをされるなんて思わなかったから身体は固まってしまう。
 でも触れるようなキスは甘く、自分の心が溶けていくような幸せな気持ちになった。
 見つめ合うと、またキスをする。今度は深く、愛を確かめ合うように。
 すると、どうした事か拍手が。ハッとして周りを見てみると、社内中の注目を浴びていた。社内の出入り口付近に居る事をすっかりと忘れていた。
 女性社員達はキャッキャッと大騒ぎだし、男性社員達は目を丸くしてジッと見ていた。これでは違う噂が立ってしまうだろう。
 咲希と八神社長は急にはずかしくなり、慌てて離れるが、すでに遅し。

 八神社長なんて耳まで真っ赤になっており目を合わせる事も出来ないようだ。そういう自分もだが。
 奏太は状況がよく分かっていないのか背中で大はじゃぎ。声を出して喜んでいた。
 それを背中越しに感じて咲希は口元が緩んでフフッと思わず笑ってしまう。
 なんとも情けなくて、大胆な告白になってしまった。八神社長は咲希の笑っている姿を見て苦笑いをしていた。