シングルマザーでしたが、オフィスビルで俺様社長と一緒に子供を育てています。

「そうだな。俺は奏太のパパだ」

「……えっ?」

 咲希は驚いて八神社長を見る。彼は優しい表情で奏太を見ていた。
 その表情に不覚にもドキッと心臓が高鳴ってしまう。

「あ、あの」

「……俺は奏太の父親になりたいと思っている」

「えっ……それって、どういう意味で」

 八神社長の突然の言葉に聞き返した。聞き間違いだろうか?
 しかし、八神社長は優しい雰囲気から真剣な表情に変わる。そして咲希を真っ直ぐと見てきた。

「俺は口下手で思ったような事は言えないし、表情に出にくいけど、こうだと思った相手には一途だ。君は真面目で、時に頑固なところもあるけど。それでも真っ直ぐで純粋だ。だから俺は君に惹かれたんだと思う。会社の信用なんて、これからでも取り返せる。それぐらいの根性と知識は積んできたつもりだ。奏太も懐いているし、父親としても絶対にやっていける。だから……俺のところに来い。好きなんだ」

 彼なりに不器用ながらも真っ直ぐな気持ちをぶつけてきた。
 まさかのプロポーズだった。
 本当に自分でいいのだろうか? こんなシングルマザーで何もないのに。

「私……何も持っていませんよ? 美人でもないし、スキルもなければ、頭も良くないし。それにシングルマザーで」

 自分で言っておきながら情けなくなってくるが、本当の事だ。
 それなのに選んでくれるのだろうか?
 すると、八神社長は咲希をギュッと抱き締めてくる。心臓が大きく跳ね上がった。

「それでもいい。俺が好きなのはそんな事じゃない。シングルマザーでも頑張っている君だ」