シングルマザーでしたが、オフィスビルで俺様社長と一緒に子供を育てています。

 そんな中、とうとう奏太の事がバレてしまった。
 田中さんに頼んで、なるべく警戒して管理室から出さないようにしていたのだが、たまたま機材トラブルで修理会社の人を案内した帰りに遭遇してしまった。田中さんが不在だったため咲希が奏太をおぶって担当したのがまずかったのだろう。

「お、おい。後ろにおぶっている赤ん坊は俺の子か!?」

「な、何故そうなるのよ!? あなたの子じゃないわ」

 動揺して咄嗟に噓を言うが、かなり無理があった。別れた年数から考えても、自分の子だと思うのが普通だろう。

「じゃあ、よその子だと言うのか!? お前そんな阿婆擦れの女だったのか?」

「ち、違う……」

 怒りをぶつけてくる彼をどう説得したらいいか分からない。しかし翔也は怒りと納得していなかった。

「この際どうでもいい。俺の子かDNAで調べてもらえば分かる事だ。いいから、来い。すぐに調べに行くぞ」

 翔也はそう言いながら強引に私の腕を引っ張ってきた。
 周りは何が起きたのかとわざつき始めた。

(ちょっと……正気!?)

 どう考えても昔の翔也の面影はなかった。咲希が後輩として働いていた時は、エリート意識は高かったものの頼れていたし、もっと周りを見て行動が出来ていた。
 しかし、今の翔也は周りの事など一切見えていない。自分本位で目が据わっている。
 まるで自棄になっているようにも見える。

「ちょっと……やめてよ。翔也ってば」

「うるせぇ! お前みたいな地味女は、俺の言う事だけ聞いていればいいんだ」

「痛いってば。助けて」