シングルマザーでしたが、オフィスビルで俺様社長と一緒に子供を育てています。

「全速ハイハイ? 奏太……そんなことをしていたのか?」

奏太を見ると「キャハッ」と嬉しそうに手足をバタバタさせていた。
 どうも腕白坊主みたいだ。

「すみません……せっかく、お風呂に入れてもらったのに台無しにして」

 咲希は申し訳なさそうに謝った。

「別にいい。子供は多少腕白な方が元気でいいからな。お風呂は入ったから身体を拭いてあげよう」

 そう言うと八神社長は、ガーゼとお湯が入ったたらいを持ってくると奏太の身体を拭いてくれた。本当に面倒みがいい。
 こんな人が旦那さんだったら、どんなに幸せだろうか。
 フッとそんなことを考えてしまった。しかし、すぐにハッとする。
 いけない……なんて、おこがましいことを考えてしまったのだろうか。
 ブンブンと頭を振って忘れようとする。

 しばらくして仕事が終わった田中さんが戻ってきて一緒に夕食を食べることに。
 美味しいと言ってくれて……とても嬉しかった。
 食べ終わると疲れたのか、ソファーで寝てしまう八神社長と奏太。毛布をかける際に2人の寝顔を見る。髪を下ろして少年みたいな寝顔を見せる八神社長。
 そんな悠斗さんにべったりと寄り添って眠る奏太は。まるで親子みたいだ。

「アハハッ……こう見ると親子みたいですねぇ~2人共」

 田中さんが横から覗き込みながらそう言ってきた。

「あ、はい。そうですね。奏太も父親の顔を知らないから、かまってくれて嬉しいのかも」

 本当に親子だったら、どんなにいいか……。
 叶うはずもない事を想ってしまう。
 奏太と2人で生きて行こうと決心したはずなのに、心が揺らぐ。